別の言い方をするなら、私の「人間」理解において、「脳」はそれほど重要ではありません。なぜなら、人間は「脳」がなくても考えることができるからです。これは冗談ではありません。医学的な話です。
2007年7月25日付けの「FOX NEWS」に興味深い記事が掲載されています(http://www.foxnews.com/story/0,2933,290610,00.html)。
44歳のフランス人男性が、左足に力が入らないという主訴(患者が医者に訴えるおもな症状)で病院を受診し、CTをとってみたところ、なんと彼には脳がなかったのです。
脳がないにもかかわらず、彼はごく当たり前に生活していました。公務員として働き、結婚してふたりの子どもまでもうけています。
種明かしをすれば、実際には「脳がない」わけではありません。彼は「ダンディウォーカー症候群」というまれな疾患により水頭症(髄液が異常に貯留する病気)を生じていて、そのため脳が紙のように薄くなっていたのです。
こういう報告は、この事例にかぎらず時々あるようで、たとえば「サイエンス」誌の1980年12月号には、同様の事例を検討したRoger Lewin氏による「脳はほんとうに必要か?」なる論文が掲載されたりしています (Roger Lewin: Is Your Brain Really Necessary?. Science, 210(12), pp. 1232 – 1234,1980.)。
前回もすこし述べましたが、「脳がすべて」とおっしゃる方には、私はこの画像をぜひお示ししたい。ハードウェアがこれほどダメージを受けていても、「人間」というOSは繰りかえし起動するということ。この事実は、ちょっと感動的ですらあります。
(via 書籍出版 双風舎:【連載】「脳は心を記述できるのか」)
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